タコをやわらかくする方法TOP写真

折角作ったタコ料理、タコの身を食べると
「ゴムみたいに硬い!」
「噛んでもかみ切れない・・・涙」

という経験を持った人は多いはず。

タコにはやわらかく料理する方法がいくつかあります。
一般的に知られているタコをやわらかくする方法のどれが一番効果的なのか、実験検証してみました。
タコを料理する際のご参考となれば幸いです。


やわらかくする方法ラインアップ

タコをやわらかくする方法として、「大根と一緒に煮る」「大根でたたく」など大根を使う方法が良く知られています。
その他にも多数ある料理サイトをリサーチして良く用いられている方法をラインアップしてみました。

  • 棒でたたく
  • 大根でたたく
  • 大根と一緒に煮る
  • 大根汁と一緒に煮る
  • 炭酸水と一緒に煮る
  • 重曹と一緒に煮る
  • 一度冷凍する


今回、これら方法を実際に実験検証してみました。
知っているものもあれば、そうでないものもあるかもしれません。

日本では馴染みはありませんが、イタリアではワインコルクと一緒にとろ火で煮るとやわらかくなるという知恵もあるようです(但しワインコルクの効果については科学的に証明されていない。後述しますが、とろ火でじっくり煮るところに意味があるように思います)。

世界を見渡せばいろいろな方法があるのでしょうが、タコをやわらかくする方法については、我が国日本で既に確立しています。
その典型的料理が、「タコのやわらか煮(桜煮)」でしょう。

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箸がほとんど抵抗なく刺さるそのやわらかさ、食べた人なら分かると思います。

このページは、あくまでもタコを釣ったり買ったりして実際に料理する人のための情報です。
何か特殊な方法であったり、特殊なものを使うことはしません。

以下に各方法について簡単に説明していきます。

棒でたたく

棒でたたく

下処理時に、棒などでタコをたたき、筋肉繊維を壊すことにより、タコがやわらかくなると言われています。
しっかりした芯のあるような状態から、芯の無いヘタッとした感じになるまでたたきます。

※写真では、都合上、カット後の検体をたたいていますが、実際にはカット前にたたきます。

大根でたたく

大根でたたく

大根やカブに含まれる消化酵素であるアミラーゼ(ジアスターゼとも言う)がタコの筋肉繊維に含まれるタンパク質を分解する作用があると言われています。
アミラーゼは、人間の膵液や唾液にも含まれ、胃腸薬としても使われています。

下処理時に、消化酵素を含む大根(皮をむいた状態)でタコをたたくことにより、棒でたたく(上記)より高い効果が得られるのでしょうか。
しっかりした芯のあるような状態から、芯の無いヘタッとした感じになるまでたたきます。

※写真では、都合上、カット後の検体をたたいていますが、実際にはカット前にたたきます。

大根と一緒に煮る

大根と一緒に煮る

皮をむいた大根とタコを一緒に煮ることにより、大根に含まれる消化酵素がタコの筋肉繊維に含まれるたんぱく質を分解、結果タコがやわらかくなると言われています。
大根汁と一緒に煮るケース(下記)とどれほどの違いがあるのでしょうか。

大根汁と一緒に煮る

大根汁と一緒に煮る

大根汁とタコを一緒に煮ることにより、大根に含まれる消化酵素がタコの筋肉繊維に含まれるたんぱく質を分解、結果タコがやわらかくなると言われています。
逆に、大根と一緒に煮るケース(上記)とどれほどの違いがあるのでしょうか。

炭酸水と一緒に煮る

炭酸水と一緒に煮る

炭酸水に含まれる炭酸水素ナトリウムがタコの筋肉繊維に含まれるたんぱく質を分解する作用があると言われています。
また、タコを煮る際は、水の半量程度を炭酸水に代え、煮ると良いと言われています。

重曹と一緒に煮る

重曹と一緒に煮る

重曹とは、「重炭酸曹達(ソーダ)」の略で、炭酸水素ナトリウムのことです。
つまり炭酸水に含まれる炭酸水素ナトリウムそのもの。
従って、タコをやわらかくする目的で重曹を使うことにより、炭酸水(上記)と同じ効果が期待できることがわかります。

一度冷凍する

一度冷凍する

料理前にタコを急速冷凍することにより、その筋肉繊維を壊し、やわらかくすることができると言われています。
それでは、特別な機能の無い家庭用冷蔵庫で普通に冷凍した場合はどうでしょうか。
効果が期待できるのでしょうか。

実験検証結果

実験は、一口サイズにカットした各検体のタコを30分煮る方法で。
結果の確認は、複数人で実際に食べてみる形で行いました。
(実験方法の詳細は、まとめの後に参考情報として掲載しています)

一番効果的な方法はこれだ!

何もせず煮た場合のゴムのような硬さを「1」、やわらか煮のようなほとんど抵抗の無いやわらかさを「5」として、5段階に分けました。

検証実験結果

全ての方法がやわらか煮ほどにはならないものの、大なり小なりの効果があり、特に、棒/大根でたたく方法が一番効果が高い評価「4」の結果となりました。
但し、棒でたたこうが、大根でたたこうが、有意な差はありませんでした。
実際の料理現場では、手間を考えれば、すりこぎ棒などでたたくのが楽にできていいですね。

「大根と一緒に煮る」と「大根汁と一緒に煮る」に差が現れているのは、大根に含まれる消化酵素がどれだけ煮液に溶け込むか、その量の違い、方法による効率の違いが理由と思われます。

同様に、「炭酸水と一緒に煮る」と「重曹と一緒に煮る」で差が現れているのは、煮液に溶け込む炭酸水素ナトリウムの量の違いが理由でしょう。

また家庭用冷蔵庫で普通に冷凍するだけでは、大きな効果は認められませんでした。
業務用冷凍庫で急速冷凍することがポイントなのかもしれません。

組み合わせて更にやわらかくする

今回の実験検証は、あくまでもそれぞれの方法を同列に並べ、単体で見た場合にどれだけの効果があるか確認するのが目的です。
実際の料理現場では、これらを組み合わすことも可能ですし、多くの料理レシピでそうしているようです。
「棒でたたいてから、炭酸水と一緒に煮る」
「大根でたたいてから、その大根と一緒に煮る」
等々、更なる効果が期待できます。

やっちゃいけないこと

タコをやわらかくする効果があるものと反対に、硬くする効果があるものがあります。

  • 「みりん」を使う
    日本料理の定番アイテムのみりんですが、みりんにはタコを硬くする効果があります。
    白身魚などの身崩れしやすい材料を煮る時の必須アイテムであるみりんですが、タコを煮る際には使わないほうが良いでしょう。
  • 「強火・短時間」で火を通す
    タコ料理は、「弱火・長時間」が基本です。
    その逆である「強火・短時間」の料理方法は、タコを硬くする方向に働きます。
    天ぷらなど、料理の種類によっては、「弱火・長時間」で火を通すことをしないものがあります。
    その場合は、下処理としてよくたたいておく、または炭酸水に漬けておく、などで対応できます。

まとめ

  • 火を通す前に、下処理としてタコをたたいておくのが一番効果が高い。
  • 大根に含まれる消化酵素、炭酸水に含まれる炭酸水素ナトリウム(重曹)、それぞれにタコの筋肉繊維に含まれるたんぱく質を分解、やわらかくする効果がある。
  • 「棒でたたいてから、炭酸水と一緒に煮る」という感じで、やわらかくする方法を組み合わせて料理するとより効果がある。
  • タコ料理は、「弱火・長時間」が基本。
    また、みりんは身を硬くする効果があるので、使わない。

実験方法(参考)

上記、実験検証結果およびまとめを見て頂ければ、このページの目的は達せられますが、今後あるかもしれない追加実験を見越して、今回の実験方法を記録に残しておきます。
興味のある方はご覧ください。

タコ(検体)の準備

用意したタコは、スーパーで買った生のミズダコの足。
これを塩もみしてヌメリを取ります。

ヌメリ取り

ヌメリと塩はしっかり洗い流しておきます。

次に、一口サイズにカットします。

一口サイズにカット

以上で検体の準備完了です。

煮る方法

煮る方法は、「麺つゆ100cc+水300ccの混合液を中火で30分煮る」を基本型としました。
上でタコ料理は「弱火・長時間」が基本と書いておきながら、「中火・中時間」の設定にしたのは、より各方法の効果差を明確にする為です。
「弱火・長時間」設定にすることにより、オール「4」or「5」と差異が小さくなるのを懸念しました。

各方法の実験条件

「棒でたたく」:タコの身に芯がなくヘタっとするまでたたく。その後に煮る。

「大根でたたく」:皮をむいた大根で同上たたき、その後に煮る。

「大根と一緒に煮る」:皮をむいた大根150gを4ピースに切り分ける。

「大根汁と一緒に煮る」:水の半分150ccを大根汁150ccに変える。

「炭酸水と一緒に煮る」:水300cc全てを炭酸水300ccに変える。

「重曹と一緒に煮る」:重曹小さじ1杯を加える。

「一度冷凍してから煮る」:家庭用冷蔵庫で24時間冷凍してから、冷蔵庫内で自然解凍する。


【追加・変更 履歴】

2018/2/22 クレイジーフィッシングにて公開


【参考文献】

「魚料理のサイエンス」成瀬宇平