イワシに寄生するアニサキスTOP写真

アニサキスの寄生サイクルにおいて、イワシはオキアミの次に来る大事な寄生宿として知られています。

ところがイワシからアニサキスを発見したという話はあまり聞きません。
筆者自身もイワシへのアニサキス寄生調査を行ったことがありますが、一度もアニサキスを発見したことはありませんでした。

この矛盾に対して、一つの仮説を立てました。

イワシに寄生するアニサキスの大きさは、サバなどのより大型魚に寄生するアニサキスと比べかなり小さく、発見が難しい。
但し、存在はしているので、拡大鏡などで発見することはできる。

つまりイワシにアニサキスが居ないのではなく、その小ささがために滅多に発見されることはない、のだと考えました。

この仮説の正誤を判断するために新たに調査を行いました。

以下、その記録です。

※結論だけ知りたい方は、目次↑から「まとめ」へ飛んでください。
※以下、魚の内臓写真が掲載されていますので苦手な方はご遠慮ください。

調査概要

調査サンプル

スーパーで購入したウルメイワシを使いました。

 ・計6匹
 ・サイズ約20㎝

調査サンプル(ウルメイワシ約20cm)

ウルメイワシという魚種で20cmは最大級の大きさです。

調査方法

  • 調査サンプル(ウルメイワシ6匹)の内臓を全て取り出し、トレイに並べ目視でアニサキスを見つけ採取する。
  • 次にサイズを測定し、写真撮影を行う。
  • 記録をまとめる。

アニサキス採取の具体的手順

  1. 取り出した内臓をトレイに並べ、半日酢に漬ける。
    内臓の酢漬け
    (イワシの内臓は腐敗→液状化しやすいので、それを防止するための措置。アニサキスには影響しません。)
  2. 酢を半分程捨て、動いている生体アニサキスを採取する。
    酢漬け後生体確認
  3. 真水を注ぎ、浮いてくる内臓の断片を捨てつつ、底にいるであろうアニサキスを探し採取する。
    発見したアニサキス
    発見したアニサキス(つまようじの先)

    これを何度も何度も繰り返す。
  4. 時々、手で内臓水を撹拌しつつ、同上繰り返す。
    水を注いで撹拌

調査結果

計15匹のアニサキスを発見・採取しました。

計15匹のアニサキスを発見

  • 全て死体(生体は発見できず)
  • ウルメイワシ1匹当たりアニサキス2.5匹
    ※但し小さなアニサキス死体の発見は非常に難しく、全数摘出したとは断言できない。
  • サイズ:4-8mm ※全て裸眼で確認可

全て死体だった理由(推測と考察)

今回発見した15匹全て死んでいた理由を以下の通り推測しています。

  • アニサキス個体のサイズが小さいため、その分生命力が弱かった。
  • ウルメイワシの流通過程において塩氷水(-2度)などで冷やされ、寄生していたアニサキスが死滅した。

筆者はサバなどから計1000匹近いアニサキスを採取した経験があります。
その経験から、特別な手配をしないサバ(例:近所のスーパーで購入)から発見されるアニサキスの8-9割は既に死んでいることが分かっています。

腐りやすいサバなどの魚は、流通過程において塩氷水でキンキンに冷やされ店頭まで運ばれます。
その間に体力の弱い個体や体表の近くにいた個体は死んでしまうようです。

今回の調査サンプルのウルメイワシは、そのサバなどに比べても圧倒的に小さく、流通過程において魚体の芯までキンキンに冷やされ、もともと生命力の弱い小さなアニサキスは一匹たりとも生き延びることができなかったのでしょう。

まとめ

  • やはりイワシにはアニサキスが寄生している
    イワシのアニサキスまとめ
    左下の棒状のものは、つまようじの先
  • 「見ない」のは、「居ない」のではなく「見つけられない」だけ。
  • そのサイズは小さく発見は難しい。(今回発見の個体サイズ4-8mm、更に小さい個体がいる可能性も有り)
  • 流通過程を経て、スーパーなどの店頭で販売しているイワシに寄生しているアニサキスの多くは既に死んでいるものと推測。
  • アニサキスアレルギー持ちの方を除き、一般の方にとっては、イワシは、サバやタラなどと比べ食べるリスクは低いもの考えられる。
    (アニサキス個体のサイズが小さく、その生命力が比較的弱いため)
  • イワシ食については、相対的にリスクが低いものの、安全のためにはサバなどと同様に対処した上で食すべきと考える。